当所の和紙は3代目が口ぐせにしていた「信用」という言葉がそのまま当てはまる作業工程となっています。
原料の楮を自ら育て、製品にするまでを一貫して行う工程こそが、物があふれる今の時代に必要になってきていると思います。
和紙風、和紙まがいなものが市場に溢れ、これらが本物の和紙だと思われて日常的に使用されています。
また修復など長期間の耐久性が求められる場面でも、着色などの加工を施した本物でない物が出てきています。
それが本物の和紙とどう違うか、特徴や違いを知ってもらうことも私たち作り手の仕事だと思っています。
和紙風、和紙まがいなもの=悪 ではありません。使いたい場面や使いたいものによって使い分けをすることこそがそのものを生かすこととなり、使い手が本来行うべきことだと思います。
また手間暇がかかっているのに高いといわれる本物の和紙。そこには和紙風、和紙まがいなものが本物のように市場にあふれ、低価格で買えるという認識からか価格破壊がおこり、作り手は利益を得るために和紙に混ぜ物をし、自ら和紙風、和紙まがいなものを作らざるを得ないという現状がそこにはあります。
手間暇かけ作り出された本物の和紙がそれなりの評価を受け、それなりの価格で販売できることを今一番作り手が求めています。
当所では先代の想いを引き継ぎながら、本物の和紙を一から作ることを大切にしています。